光のもとでⅠ
その言葉を継ぐように俺も口を開いた。
「人の中に放り込んで見たものの、あいつ変に順応力高いから、その中でも適当にやれちゃうんだ。けど、自分から人の輪の中に入っていくことはまずしない。基本はスタンドプレー。自分から人と深い関わりを持とうとしない若槻が、自分から翠葉ちゃんの兄になるって言いだした。……すごい進歩なんだ」
蒼樹は少し考えてから口を開いた。
「期待をされても困ります。自分にも翠葉にも何ができるのかはわかないから。でも、しばらくは三兄妹で楽しく過ごせそうです。何より、翠葉にとってもいいリハビリになると思うので……。ほら、翠葉もどこか人を避けて通ろうとする節があるから」
一括りにするなら、ふたりは人間不信なのだろう。ただ、翠葉ちゃんに関しては家族には絶対の信頼を寄せている。若槻は、そこが抜け落ちている。
彼女は適応力が欠けているものの、若槻はそこが秀でている。
互いにいい作用がもたらされればいい。そしたら、若槻も彼女も、少しは楽になれるだろうか――。
「人の中に放り込んで見たものの、あいつ変に順応力高いから、その中でも適当にやれちゃうんだ。けど、自分から人の輪の中に入っていくことはまずしない。基本はスタンドプレー。自分から人と深い関わりを持とうとしない若槻が、自分から翠葉ちゃんの兄になるって言いだした。……すごい進歩なんだ」
蒼樹は少し考えてから口を開いた。
「期待をされても困ります。自分にも翠葉にも何ができるのかはわかないから。でも、しばらくは三兄妹で楽しく過ごせそうです。何より、翠葉にとってもいいリハビリになると思うので……。ほら、翠葉もどこか人を避けて通ろうとする節があるから」
一括りにするなら、ふたりは人間不信なのだろう。ただ、翠葉ちゃんに関しては家族には絶対の信頼を寄せている。若槻は、そこが抜け落ちている。
彼女は適応力が欠けているものの、若槻はそこが秀でている。
互いにいい作用がもたらされればいい。そしたら、若槻も彼女も、少しは楽になれるだろうか――。