光のもとでⅠ
「かしこまりました! では、そちらを拝借」
 と、さっき渡された飲み物ふたつを手に取り、どちらも未開封であることを確認すると、ミネラルウォーターを紙コップに注ぎ始める。
「出した分だけリンゴジュースをペットボトルに入れればOKでしょ? 作りおきができないなら、その都度作ればいいんだ。余ったのは俺が飲んじゃえばいいし」
「でも、手間がかかるから――」
「翠葉ちゃん、ごめんはなしだよ?」
 言葉を遮られ、「こういうときは?」と訊かれる。
「ありが、とう……?」
「そう。これからもこういうことで『ごめん』って謝らないで? 謝られると悲しくなるからさ」
 こんな話は何度も何度もたくさんの人としてきたと思う。
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