光のもとでⅠ
 そう思えば、先ほどの曲「True Colors」の歌詞を思い出す。
「翠葉ちゃんの『やさしい花』はちゃんと俺に届いたよ。だからさ、俺からも花を贈らせてよ。俺に対して本当に悪いことをしたときにだけ謝って? そうだな……たとえば、俺の弁当食っちゃったとか」
 え? 空太くんのお弁当……?
「くはっ、そこで真面目に考えちゃうところが翠葉ちゃんだよね!」
 笑いながらも、手元は器用にリンゴジュースをペットボトルに移し始めていた。
「こういうのはさ、善意っていうんだよ。好意でもいいかな? 人の気持ちは素直に受け取りましょう。ま、それが押し売りだったら迷惑でしかないかもしれないけど?」
「やっ、そんなことないっ」
 私は必死なのに、空太くんはクスクスと笑っている。
 その笑顔は高崎さんとよく似ていた。
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