光のもとでⅠ
「世の中さ……っていうか、うちの学園でいいや。学園には色んな人がいるし、翠葉ちゃんのことを良く思わない人もいると思う。でも、うちのクラスはみんな翠葉ちゃんが好きだから。だから大丈夫だよ。みんながしてくれることは好意や善意であって、翠葉ちゃんが申し訳なく思う必要はない。『ありがとう』って受け取ればいい。もしお礼がしたくてもできないっていうなら、それも大丈夫。みんなが死ぬまでに返してくれればいいよ。死んだあとなら天国でよろしく。ほい! 空太特製翠葉ちゃんジュースの出来上がり!」
 空太くんはキャップを締めたペットボトルをトン、と私の頭のてっぺんに置いた。
「あ、すげっ! 翠葉ちゃん、恐るべきバランス力っ!」
「え? わ、あ……」
 どうしよう、これ動いていいの? ……ん? 違う、手にしていいのかな?
「何やってるんだか……」
 よく知った低い声がすぐ後ろで聞こえ、頭に乗せられたペットボトルの重力がなくなった。
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