光のもとでⅠ
「さっき、体調は大丈夫か、って訊いたわよね? 大丈夫よ、ステージではね」
 ステージでは、とさっきと同じことを口にする。
「ステージでは大丈夫じゃないとダメなの。いつもと同じ、もしくはそれ以上の力を発揮できないとダメ。そう決まっているのよ」
 張り詰めた表情で話すと、最後にクスリと笑った。
「私がステージで向けた笑顔が本物じゃないことくらい、翠葉ちゃんは気づいていたでしょう?」
 それは――。
「気づいていないか、と言われたら、少しは気づいていました。本物偽物ではなく、演技かな、って……」
「そんな顔してた」
「でも、話している言葉に嘘はないと思ったから……」
 だから、私は今ここにいる。
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