光のもとでⅠ
茜先輩は私から視線を逸らし、無機質な床に視点を定めた。
「そうね……嘘はなかったわ。ひとつも……。私は翠葉ちゃんと話したかった。でも、こんなふうに話す私と話し続ける勇気はある?」
訊かれてゾクリと粟立つ。
「……話したら、茜先輩は楽になれるんですか? それとも……現実を目の当たりにして苦しむんですか?」
私は、さっきツカサに言われたばかりの言葉をそのまま口にしていた。
「……両方、かしら。言えば鬱憤は晴れるかもしれない。でも、現実が変わる可能性は何ひとつないように思える」
茜先輩の目が何を見ているのか、何を捕らえているのかすら、このときの私にはわからなかった。
でも、だからこそわかりたいとも思った。
――そんな思いこそが傲慢だとも知らずに。
「そうね……嘘はなかったわ。ひとつも……。私は翠葉ちゃんと話したかった。でも、こんなふうに話す私と話し続ける勇気はある?」
訊かれてゾクリと粟立つ。
「……話したら、茜先輩は楽になれるんですか? それとも……現実を目の当たりにして苦しむんですか?」
私は、さっきツカサに言われたばかりの言葉をそのまま口にしていた。
「……両方、かしら。言えば鬱憤は晴れるかもしれない。でも、現実が変わる可能性は何ひとつないように思える」
茜先輩の目が何を見ているのか、何を捕らえているのかすら、このときの私にはわからなかった。
でも、だからこそわかりたいとも思った。
――そんな思いこそが傲慢だとも知らずに。