光のもとでⅠ
十階に着くと家に電気が点いていた。
「どうやらうちの愚弟がいるみたいよ」
「……愚弟って、めちゃくちゃ頭いいって話じゃないっすか」
「そうね。頭のできはいいんじゃないかしら? 顔は私に瓜二つだから拝んでいくとご利益あるわよ」
玄関に入るとすぐに司が出てきた。
「おかえり」
「ただいま。あんた夕飯は?」
「適当に食べた。……そちら、どちら様?」
視線が私の後ろにいる若槻を捕らえていた。
「秋斗の部下、ウィステリアホテル在中の若槻唯。名前くらいは知ってるでしょ?」
その問いかけに頷くと、
「司です。いつも秋兄がお世話になっています」
と、頭を下げた。
「若槻唯です」
ふたりを見ていたものの、その先に会話が続かない。
ちょっと待て……。
「あんたたち、それでおしまいっ!?」
「「ほかに何が?」」
……どこか似てるとは思ったのよ。この素っ気無さというかなんというか……。
素っ気無いは素っ気無いなりに、若槻のほうがまだ喋るかもしれない。
だけど同じような人間が揃うとこうも会話が続かないものか……。
思わず頭を抱えたくなる。
いや、そこは海斗がふたりいたら延々と喋り続けていてうるさい、という事態を想像して相殺しておこう。
「どうやらうちの愚弟がいるみたいよ」
「……愚弟って、めちゃくちゃ頭いいって話じゃないっすか」
「そうね。頭のできはいいんじゃないかしら? 顔は私に瓜二つだから拝んでいくとご利益あるわよ」
玄関に入るとすぐに司が出てきた。
「おかえり」
「ただいま。あんた夕飯は?」
「適当に食べた。……そちら、どちら様?」
視線が私の後ろにいる若槻を捕らえていた。
「秋斗の部下、ウィステリアホテル在中の若槻唯。名前くらいは知ってるでしょ?」
その問いかけに頷くと、
「司です。いつも秋兄がお世話になっています」
と、頭を下げた。
「若槻唯です」
ふたりを見ていたものの、その先に会話が続かない。
ちょっと待て……。
「あんたたち、それでおしまいっ!?」
「「ほかに何が?」」
……どこか似てるとは思ったのよ。この素っ気無さというかなんというか……。
素っ気無いは素っ気無いなりに、若槻のほうがまだ喋るかもしれない。
だけど同じような人間が揃うとこうも会話が続かないものか……。
思わず頭を抱えたくなる。
いや、そこは海斗がふたりいたら延々と喋り続けていてうるさい、という事態を想像して相殺しておこう。