光のもとでⅠ
 ――「話したところで自分に現実を突きつけるだけ。その現実を自分がどうできるわけでもない。人に話して誰がどうできるものでもない。話すことで楽になったり答えを得られる人間ばかりじゃない」

 まさにその通りだと思った。
 茜先輩の出自を私がどうできるわけではないし、誰がどうしたところで覆るわけではない。
 久先輩のご両親にしてもそうだ。
 人の価値観は簡単に変わるものではない。
 変えたくても変えられないことだってあるし、それが大人ともなればなおさらな気がする。
 茜先輩の気持ちなど、私にはわかりようがない。
< 5,671 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop