光のもとでⅠ
 お父さんもお母さんも健在だけれど結婚はしておらず、認知はされているけれど母子家庭に変わりはない。
 ほかにも腹違いの兄弟が四人いて、そのうちのひとりがサザナミくん。
 彼以外は音楽の道に進み、お父さんの目に留まるためには音楽業界で成績を残すしか方法がなかったという。
 音楽がお父さんに振り向いてもらうための唯一の方法だったなんて……。
 そんな状況、私にはわかりようがない。
 そして、その状況へ追い詰めたのがたったひとりのお母さんだったなんて――。
「母はいつも言っていたわ。恋や愛に永遠はないって……。ずっとそう言われてきたの。だから、久のことが好きでも、その気持ちはずっと続かないと思ってた。久が好きって言ってくれても、そんな気持ちが続くわけないと思ってた。……けど、久はずっと変わらず好きでいてくれた。いつも私の側にいてくれた。だから、少しだけ――少しだけ信じてみようと思った」
< 5,672 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop