光のもとでⅠ
 茜先輩の声が会場から聞こえる音に混じって通路に響く。
 どんなに叫んでも、それが奈落に届くとは思いがたい。
 それだけがせめてもの救い……。
 歌とは違う声。
 最後は感情をぶつけるように全身で叫んでいたけれど、その声に憎しみは感じなかった。
 悲しくて悔しくて、心が痛くて仕方ない。
 そんな声が私の心を激しく揺さぶる。
 茜先輩と私の境遇は全く違う。けれども、環境や境遇、そういったものを抜きにすれば、その感情はひどく馴染みあるものだった。
 話すことではどうにもならない。
 ただ現実を突きつけるだけ――。
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