光のもとでⅠ
 咄嗟に自分が羽織っていたケープを茜先輩の肩にかけたけれど、そんなことをしても意味はなかったかもしれない。
 寒さからくる震えではなく、気持ち――恐怖からくる震え。
 足元が崩れて真っ暗な闇に落ちるのではないかと思うような、そんな恐怖に怯えている。
 そんなときに欲するもの。
 それは、自分の身体を支えるための支え――。
 わかっているのに、知っているのに動けない。
「ねぇっ、私、どうしたらいいっ!?」
 茜先輩に抱きつかれる。
 その身体を支えたいと思うのに、微動だにできなかった。
 だって、この手は支えを欲している。
 寄り添う心など求めていない。
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