光のもとでⅠ
 今、私が茜先輩の手を取ったとしても、つらい感情に同調して、負の感情を倍増させるだけだ。
 だから、動けない。
 なんて情けない――。
「私……私、どうしたらいい?」
 どうしたら――。
 どうしたらいいのかはわからない。でも、たったひとつだけ見えているものがあった。
「茜先輩、私にはどうしたらいいのかはわかりません。最良の選択が何なのか、ほかの選択肢に何があるのかすらわかりません。……でも、茜先輩が久先輩を好きなことはわかります。それから、久先輩が茜先輩をとても大切に想っていることも」
「でもっ、人の気持ちは永遠じゃないのよっ!? 結婚しても離婚するかもしれない。久の気持ちが私から離れていくのだけは耐えられないっ。そんなことになったら、私、二度と歌えなくなるわっ。生きていけないっっっ」
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