光のもとでⅠ
 私はその手を握り返す。
「じゃぁ、私はもっとひどいことを言います。……私には茜先輩の気持ちはわからない。茜先輩の置かれている立場は一生かかっても理解できません。想像ならできるけど、それは想像でしかない……」
「……わかってるよ。それをわかっていて話したんだもの。でも、それを認めて口にするのは……翠葉ちゃん、つらいでしょう? 苦しいでしょう? そこまでわかっていて話しているから私はひどいんだよ」
 茜先輩は一筋涙を流し笑った。
「苦しく、ない……。苦しんでいる人が目の前にいるのに、私が苦しいのなんて、違う」
 涙が零れそうで必死に堪える。
「泣いていいのに……」
「や、です。絶対に、や、です」
「……意地っ張り」
 茜先輩がクスリ、と笑う。
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