光のもとでⅠ
「あり、がと……。本当に、ありが、と……」
 通路の先から人の足音が聞こえてきた。
 まるで、これからそこに行くから、と合図をするように歩く音は、一定の速度でこちらに近づいてくる。
 気配に覚えがある気がした。
「軽音部がラストに入りました」
 その声を聞いて私はほっとする。
「あと三分くらいで終わります。しばらくは放送委員につなぐように通達してありますが、どのくらいで戻れますか?」
 心が落ち着く低い声の持ち主はツカサ。
 ツカサは近寄りすぎず、声が届くところに留まっている。
「翠葉ちゃんは大丈夫?」
 茜先輩に聞かれて頷く。
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