光のもとでⅠ
21~24 Side Akito 01話
会議が終わりパソコンを閉じる。
時間を確認すると一時前だった。
「このあとは学校へ戻られるのですか?」
気がつくと、末席にいた蔵元が俺の前に立っていた。
「いや、これからマンションに戻る」
「仕事、なさいますよね?」
「小姑だな、ちゃんとするよ。ただ、この時間は翠葉ちゃんがひとりなんだ」
「それでしたら仕方ないですね。翠葉お嬢様のご容態は……?」
「正直、あまり良くない。今は体を起こすこともままならない」
「それは心配ですね……。仕事は割り振って少し唯に回しますが、秋斗様でないとできない処理もございます」
「わかってる。いつも助かってるよ」
その一言が会話の終わりを示していることに気づき、蔵元が一歩下がる。
席を立ち出口に向かうと、思わぬ人物に待ち伏せされていた。
「じーさん、何してるんですか……」
「会社の中では会長と呼べと言うておろうが……」
いつものように和服の出で立ちで待ち構えていたのは、紛れもなく藤宮グループの会長だった。
「会長、ご用件は?」
訊き直すと、
「待てども待てども秋斗が水筒を持って来ぬからじゃろう」
しまった……。
赤い水筒はまだ自宅にある。
時間を確認すると一時前だった。
「このあとは学校へ戻られるのですか?」
気がつくと、末席にいた蔵元が俺の前に立っていた。
「いや、これからマンションに戻る」
「仕事、なさいますよね?」
「小姑だな、ちゃんとするよ。ただ、この時間は翠葉ちゃんがひとりなんだ」
「それでしたら仕方ないですね。翠葉お嬢様のご容態は……?」
「正直、あまり良くない。今は体を起こすこともままならない」
「それは心配ですね……。仕事は割り振って少し唯に回しますが、秋斗様でないとできない処理もございます」
「わかってる。いつも助かってるよ」
その一言が会話の終わりを示していることに気づき、蔵元が一歩下がる。
席を立ち出口に向かうと、思わぬ人物に待ち伏せされていた。
「じーさん、何してるんですか……」
「会社の中では会長と呼べと言うておろうが……」
いつものように和服の出で立ちで待ち構えていたのは、紛れもなく藤宮グループの会長だった。
「会長、ご用件は?」
訊き直すと、
「待てども待てども秋斗が水筒を持って来ぬからじゃろう」
しまった……。
赤い水筒はまだ自宅にある。