光のもとでⅠ
「そんなふうに言われたら、翠葉ちゃんは反射的に立ち上がっちゃうじゃないですかっ。第一、昇降機までのエスコートは私と高崎くんの仕事ですっ」
「……百歩譲って、翠が反射で立ち上がるのは翠の責任であり、俺が口を挟む余地があるのは高崎と七倉が仕事を怠ってるからじゃないの? 俺に仕事を取られたくないならさっさと動け」
 それだけ言うと、ツカサはその場から立ち去った。
 なんというか、どのあたりを百歩譲られたのかがわからない。
 全くもって、何も譲られた気がしないのは私だけだろうか……。
「ったく……藤宮司はどう転んでも藤宮司ね? ま、口数が増えたところで人格まで改まるわけがないわね」
 呆れたような桃華さんの言葉に、口数が増えたかな、と疑問に思う。
 私にはあまり変化がないように思えるけれど……。
 今度こそ、香乃子ちゃんと空太くんに誘導されて昇降機へと移動した。
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