光のもとでⅠ
「御園生、だいぶ慣れた?」
 そう声をかけてくれたのは佐野くん。
「緊張はするけど……やな感じではないかも?」
「それ、すっごくいい緊張感ってやつだよ」
 そこへ茜先輩がちょこちょこと走ってきて同じ昇降機に乗った。
「さぁ、いざ出陣だよっ!」
 茜先輩の声で昇降機が上がり始めた。
「翠葉ちゃん、この曲からステージ中央で歌おうか」
 不意にされた提案。
「だいぶ落ち着いてきたよね? もう、ピアノの前じゃなくても歌えるよね?」
 緊張はしている。
 でも、佐野くんが言ってくれたように悪い緊張ではないと思えた。
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