光のもとでⅠ
 私は空太くんが作ってくれる水割りジュースを飲みながら、記憶をたどろうと必死になっていた。
 でも、どうやってもウィザード以上のものは思い出せなかった。
 どうして……。どうして、いつもこんなに中途半端な思い出し方なんだろう。
 そう思っていたとき、「お姫様」と声をかけられた。
「朝陽先輩……」
「眉間にしわ寄ってるよ? その顔続けてたら、アレみたいになっちゃうけど大丈夫?」
 朝陽先輩の手は巨大モニターを指差していた。
「それは嫌です……」
 答えたあとは、モニターから目が離せなくなる。
 ツカサがステージに上がったあと、会場からはキャー、と女の子たちの声が多数聞こえてきた。
 その熱狂たるや、半端じゃない。
 でも、それは仕方がないと思うの。
< 5,757 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop