光のもとでⅠ
 中等部の制服を見たのは初めてだった。
 校門はどこでも通れるから、高等部の校門を使っている中等部の子もいるはずなのだけど、今まで気づきもしなかった。
 いつも行きも帰りも誰かと一緒だったから、余計に周りに神経がいかなかったのかもしれない。
 休憩時間の終わりを告げるブザーにびっくりしてペットボトルから手が離れる。
 次の瞬間には、目の前にいた飛翔くんが間一髪で受け止めてくれた。
「……あんた、マジで生徒会役員?」
 下から見上げられてもたじろぐ私は到底先輩には見えないのだろう。
「飛翔、あまりいびるなよ」
「つ、ツカサっ」
 ツカサの手が頭に置かれてほっとする。
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