光のもとでⅠ
 ――「この曲、好きな人の側にいたいって歌詞だよね?」
 ――「はい……。あなたが近くにいると、いつも急に小鳥たちが姿を見せる。きっと私と同じね。小鳥たちもあなたの側にいたいのね――。なんだかその光景が見えてくる気がして……」
 ――「その先もきれいな歌詞だよね? 星が空から降ってくる、とか」
 ――「そうなんです! 好きな人ができたら世界がこんなふうに見えるのかな、って……。ちょっと憧れちゃう」
 ――「……意外とドロドロした世界だったらどうする?」
 ――「……夢を壊さないでください」

 自然と手が喉もとに伸び、とんぼ玉をぎゅ、と握る。
 カーペンターズの「Close to you」。
 記憶……?
 なくした記憶の一部……?
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