光のもとでⅠ
 胸を張り、昇降機を目指して真っ直ぐ歩く。
 茜先輩が歩いた場所には道ができていた。
 何を言わずとも、みんなが道を開ける。
 どうしたらそんなふうに自分をコントロールできるのだろうか。
 私にはとてもすごいことに思える。
 でも、強く見せているだけで実はとても弱い、と茜先輩は言っていた。
「茜先輩っ」
 咄嗟に声をかけて周囲の視線を集める。
 ……こんなに離れていたら話せない。
 そう思ってすぐに立ち上がると眩暈に襲われた。
「翠葉ちゃんっ!?」
 茜先輩の声と同時にすごく近くで聞こえた声はツカサのものだった。
「何度俺に阿呆と言われれば気が済む?」
 しっかりと身体を支えられていた。
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