光のもとでⅠ
 いったいいつの間にこんな近くにいたのだろう……。
 目の前が真っ暗で何も見えないのに、事象的には血の気が下がっているはずなのに、体温が上昇していくような気がする。
 ツカサが触れている部分だけがすごく熱く感じる。
「大丈夫っ?」
 結局、茜先輩は私のもとまで戻ってくることになってしまった。
「ごめんなさい、でも――」
 まだ視界が回復しない中、手を伸ばすとその手を取ってくれた。
 その手を頼りに一歩踏み出し、茜先輩をぎゅっと抱きしめた。
 頬にふわふわとした髪の毛が触れ、自分の腕の中に茜先輩がいると実感する。
「大丈夫……。絶対に大丈夫。茜先輩と久先輩なら絶対に大丈夫です」
 伝えたかったことはそれだけ。
 かけられる言葉はそれだけ。
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