光のもとでⅠ
「ありがと……」
 互いが耳もとで話す内緒話。
「司、翠葉ちゃんをお願いね」
 茜先輩が離れ、再度腕を脇から支えられる。
 視界が回復すると、茜先輩の白いドレスが、背中が見えた。
 身長は私とほとんど変わらないのに、ひどく頼もしく見える背中。
 どうして――どうしてそんなふうに見えちゃうのかな。
「用が済んだらな座ったほうがいいと思うけど?」
「ごめんなさい……」
「謝るくらいならいい加減行動を改めろとは思う。でも、別に迷惑だとは思ってないから」
 ビーズクッションに座るとツカサの手が離れた。
 奈落の冷気が、ことさら冷たく感じた。
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