光のもとでⅠ
「ほっとした……。こんなふうに自分のことしか考えられないの、自分だけじゃないって知ることができて……。そう思うことのほうがひどい気がする」
「……ひどくないよ。翠葉ちゃん、ひどくない」
 香乃子ちゃんの真っ直ぐな視線がこちらを向いた。
「恋愛ってすごく難しい。好きな人が自分を見てくれるのなんて奇跡だと思う。だから……もし、好きな人が自分を見てくれたなら、私はその恋を緩衝材に包みまくって大切にするつもり。翠葉ちゃんも……翠葉ちゃんも誰かと想いが通じたら、そうしてほしいな」
 でも、それは当分先のことだと思う。
 気づいたばかりの想いを今すぐ決別することはできない。
 次の恋なんて考えられない。
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