光のもとでⅠ
「サザナミくんっ、久先輩どこにいるか知ってるっ!?」
「俺ならここにいるけど……」
 久先輩が背後から現れた。
 久先輩も心配そうにモニターを見たままだった。
 久先輩とサザナミくんを交互に見て思う。
 今、茜先輩が側にいてほしいのは久先輩だと思う。
 私は何もできないから、だから――。
「サザナミくん、身体を貸してほしいっ。それから、久先輩も一緒に来てくださいっ」
 私はふたりの腕を掴み、会場へ上がる階段の方へと引っ張った。
「翠葉ちゃんっ!?」
 私が走り出すと、ふたりに引きとめられる。
「御園生さん、はしっちゃやばいでしょっ!?」
「そんなのどうでもいいからっ」
「「よくないでしょっ!?」」
 ふたりの声がかぶる。
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