光のもとでⅠ
 神楽さんに見据えられてドキッとした。
「おひい様、助けたいでしょ?」
 言われて、ぐっ、と言葉に詰まる。
「できることはあるのよ。あとは、やるかやらないか」
 都さんに優しい口調で言われた。
「御園生、諦めて……。この人たち言い出したら聞かないから」
「失礼な」
「失礼ね」
「あの……私、初見は苦手で」
「ショパンのエチュードにラフマニノフの嬰ハ短調プレリュードだっけ? そんなのが弾けるんだからなんとかなるわよ」
「さ、上がる準備しよっか!」
 都さんの明るい声に、みんなが移動を始める。
 周りに説明をする必要はなかった。
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