光のもとでⅠ
「あの、これ、椅子です。置いておくんで……」
 佐野くんは椅子を置くとそそくさとその場からいなくなった。
「これも、嵐子先輩から……」
 ハンカチとコンパクトを渡す。
「うちの生徒会はなんていいメンバーなんだろうね?」
 久先輩がクスクスと笑う。
 それに茜先輩が「本当」と笑った。
「翠葉ちゃん、もう大丈夫だから……」
「でも、声が……」
「大丈夫。このくらいなんとかするわ。今私、かなり無敵だと思う」
 そう言うと、にこりと笑った。
 今まで見てきた中で、一番きれいな笑顔だった。
 泣いているのにそう思う。
 本当の、本物の、心からの笑顔。
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