光のもとでⅠ
「お手数おかけしました。私にできることならなんでもします」
「言ったわね? 今度は学園祭じゃなくて、コンサート会場で同じステージに立ちましょう」
 神楽さんの言葉に、茜先輩は「喜んで」と胸を張って答えた。
 最後に残ったのは私。
 そのときには昇降機が下がり始めていた。
「翠葉ちゃん、本当にありがとう。……もう大丈夫だから安心してね」
「……良かったです」
 また涙が出そうになる。
「次の曲は自分と翠葉ちゃんに歌うわ」
「え……?」
「司の歌の次はまた私。なんといっても私の名前が入っている曲だからね。きっと恋愛でもご利益あるよ!」
 にこりと笑った茜先輩の隣には久先輩がいて、ふたりはしっかりと手をつないでいた。
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