光のもとでⅠ
「翠葉ちゃん、なんでまたそんなに泣いてるのかな? あぁ、俺、さっきハンカチ貸しちゃったから何も持ってないや」
「洗って返しますっ」
「いや、別にいいんだけど……」
「朝陽は黙ってろ……」
 いつもより数段低いツカサの声が心臓に響く。
「あ~……えっと、司、そろそろスタンバイに入ろうか?」
 久先輩が間に入り、ツカサは私を一瞥してから中央昇降機へと向き直った。
 ツカサの鋭すぎる目に心臓が射抜かれるかと思った。
「翠葉ちゃーん……司、相当機嫌が悪いことになってるよ?」
「わかってます……」
 朝陽先輩に言われなくてもわかってる。
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