光のもとでⅠ
「ややや、私にも荷が重いよ。それに、私女の子だしね? やっぱりこういうのは男子だよっ、男子っっっ!」
「ちょっ、七倉っ!?」
 香乃子ちゃんの言葉に佐野くんと空太くんが慌てる。
 いつもなら「了解」と返事がもらえそうなのに、今日はみんなおずおずと引き下がってしまう。
 どうして……。
 ほかに頼れる人がこの場にいるだろうか。
「あ――」
 あたりを見回すと、ベースの風間先輩が目に入った。
 私が立ち上がると、
「えっ、ちょっと御園生っ!?」
 佐野くんに腕を掴まれたけど、私はその手を振り払って風間先輩へ向かって歩きだした。
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