光のもとでⅠ

39

 風間先輩は私の小さな声を一度も聞き返すことなく聞いてくれていた。
 さらには声のトーンを落として、
「えーと……つまり、御園生さんは藤宮が好きで、その藤宮には好きな人がいて? あんな映像を流したあとエスコートなんてしてもらったら、藤宮の好きな人に藤宮が誤解されてかわいそうってこと?」
「……かわいそうというよりは、申し訳ない気がして……」
 要約して話したものの、だいたいの理由はわかってもらえたみたい。
「御園生さんはさ、藤宮の好きな人を知らないの?」
「……残念ながら知りません」
「……納得」
 何をどう納得されたのかは不明だけれど、風間先輩はエスコートを引き受けてくれた。
 今の私にはそれが救いだったのは確か。
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