光のもとでⅠ
「やだね。俺が彼女と何を話してたのかなんておまえに関係ねーじゃん。御園生さん、それこそ言わなくていい。頼まれたことは聞ける状態じゃなくなっちゃったけど、もうひとつの約束はちゃんと守るから安心して? 指きりの効力は消えないから」
 私は風間先輩の目を見て首を縦に振ることで意思を伝えた。
「そんな顔しなくていいよ。話だけならできるみたいだし、落ち着いたらまた話をしようよ。音楽の話とかさ。茶道部やめたんでしょ? なんだったらうちの部と写真部かけもちしたらどう?」
 にっ、と笑うと、風間先輩は手をヒラヒラと振って会場へ上がる階段の方へと歩き始めた。

 その場に残されたのは私とツカサ。
「……とりあえず、手」
 そう言ってツカサは手を出した。
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