光のもとでⅠ
 風間先輩の言うとおり、きっとこの手を取ってもパニックになることはないだろう。
 でも、取れない――。
「何……俺もだめなわけ?」
 違う……。
 ポロポロと涙が零れる。
「海斗っ」
「な、なんでしょう……?」
「上のベスト脱げ」
「えっ?」
「早くしろ」
「ハイ」
 海斗くんが脱いだベストを無造作に頭にかぶせられ、一気に視界が暗くなる。
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