光のもとでⅠ
 マイクを持っているのは生徒会男子のみ。
 でも、みんなが口ずさんでいるから大合唱状態。
 さらには観覧席からも歌や手拍子が聞こえてくる。
 観覧席に座っている生徒はひとりもいなかった。
 すごい……。
 こんなにたくさんの人の気持ちがひとつになるなんて、すごい――。
 吹奏楽部の人たちも、演奏している人たちも楽しいって思っていると思う。
 音が、楽しいって……そう聞こえる。
 ふと、隣から視線を感じそちらを見ると、ツカサが私を見ていた。
「大丈夫だよ」と伝えたくて、でも歌ってるから言えなくて、私は笑みを返した。
 普通に笑えたと思う。
 だって、すごく楽しいと思っているから。
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