光のもとでⅠ

42

 ライブコンサートが終わると、実行委員の大半が観覧席の誘導へ向かい、ほかの人たちは奈落や会場の片付けに分散する。
 定員オーバーギリギリの昇降機には、生徒会メンバーと佐野くんが乗った。
 佐野くんとはすぐに手を離したけれど、ツカサとはまだつないだまま。
 何度も離そうと思ったけど、なかなかできないでいた。
 話をするでもなく、互いを見るでもなく、ただ、手だけがつながれている。
 それだけなのにドキドキと安心の両方を感じらるから変な気分。
 奈落に着いたのをきっかけに手を離そうとしたら、一瞬だけ強く握られた気がした。
 でも、その後すぐに離され、ツカサは片付けの作業に入ってしまい、何を話すこともなかった。
< 5,948 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop