光のもとでⅠ
「私の願掛けに秋斗先生を巻き込んだの。私が自分の恋愛をどうにかするまで、秋斗先生に動かないでほしいって……。とても卑怯な要求をしたの。秋斗先生はそれを守ってくれていただけ。それだけは翠葉ちゃんに伝えなくちゃいけないと思って……。だから、ごめんね」
「いえ……」
 反射的に答えたけれど、私が答えていいものなのかはわからなかった。
 あ――だから、お手紙?
 もしかしたら、このお手紙には「ごめんなさい」と書かれているのかもしれない。
「秋斗先生は私の知る大人の中では数少ない信用できる人。残念ながら、私はほかの人の恋を応援してるから秋斗先生の応援はできないけれど。でも、秋斗先生はずるくない大人だよ。そんな人に好きって思われている翠葉ちゃんは本当にすてきな女の子だと思う。だから、翠葉ちゃんは自信を持って自分の恋に挑んでほしいな。応援にならいつでも駆けつけるから。――今日は、本当にありがとう」
 そう言うと、小さく手を振り来た道を戻っていった。
< 5,952 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop