光のもとでⅠ
「んー……こういうのって諦めよう、そうしよう、って諦められるようなものじゃないしなぁ……。そこできっぱり想いに決別できちゃう人がいるなら父さんは尊敬するかもしれん。それにな、世の中には好きな人に付き合っている人がいようが、結婚して子どもができようが、同じ人をうん十年も想い続ける人間もいるんだぞ?」
 お父さんの視線が静さんを向く。
「え? 静さん……?」
「零樹、今お褒めに預かったのは私のことか?」
「静以外に誰がいるのさ」
 その会話に少し頭の中が混乱する。
「えっ!? じゃ、静さんってもしかしてうちの母をっ!?」
 蒼兄の言葉がするりと耳から入って混乱を消し去った。
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