光のもとでⅠ
 二十年三十年後の同級生ってどんなだろう?
 お父さんたちみたいな関係でいられたらいいな、とひとつの理想の形を見せてもらえた気がした。

 家を出る時間になるまですっかり忘れていたことがある。
「蒼兄……私、すっかり忘れていたの」
「うん、やけに落ち着いているからそうかな、とは思っていたけど……」
 朝になれば心の準備如何を問わず、問答無用でツカサに会うことになるのだ。
 お父さんとお母さんたちとは玄関で別れ、蒼兄と唯兄が一階のエントランスまでついてきてくれた。
 一階にはすでに海斗くんとツカサがいた。
 ツカサが視界に入ってすぐ、胸を押さえた自分が情けない。
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