光のもとでⅠ
 どうしようっ――。
 ツカサの顔がこちらを向いたら、私はもっと赤くなってしまう。
 そう思っていたら、前方から疑いたくなるような一言が返された。
「熱はあるんじゃないの?」
 ツカサは肩越しに振り返ると、
「今、高温期だろ?」
 さらりと言われ、私は別の意味で赤面した。
「ツカサのカバっっっ」
「俺はカバほど図体大きくないけどな」
 そう言うと、何事もなかったように前を向く。
 ずるいと思った。
 私はツカサの行動や言葉ひとつにドキドキして動揺するのに、ツカサはいつもと変わらない。
 冷静すぎるツカサがずるいと思った。
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