光のもとでⅠ
 知ったところで誰なのかを突き止める自信もないくせに。
 自分の周りにいる女子をこの子かな、と思いながら接しなくちゃいけなくなるのに。
 そんなことにも頭が回らない状態で訊いていた。
「確かに側にいるわね。……でも、この話はここで終わり。本人がいないところでする話でもないわ」
 沙耶先輩のこういうところが好き。
 あまり話す機会があるわけじゃないけれど、裏と表がない感じが好き。
 いつも、話すたびにそれを感じていた。
「姫、ちょっとごめん。風紀から通信入った。少し待って?」
 沙耶先輩は廊下の端に身を寄せた。
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