光のもとでⅠ
「だから、それを花に置き換えて説明しました。一年草の赤い花と宿根草の黄色い花があって、翠葉は赤い花が大好きでそれが欲しくてたまらない、と。赤い花も翠葉が好きで翠葉に育ててもらいたいと思っているのだけど、自分は一年草の身だから来年には花を咲かせることができない。けれども黄色い花は宿根草だから毎年花を咲かせることができる。だから、翠葉さんには黄色い花が似合います。ぜひ黄色い花を持って帰ってください、と言われるとする。で、翠葉はどうする? って訊いたんです」
「そしたら?」
と、湊ちゃんが先を促す。
「私は赤いお花が好きなのだから、一年草でも赤いお花を大切に育てたいって言いました」
「……それはつまり」
栞ちゃんが口にすると、
「赤い花が一年で枯れてしまおうが黄色い花が毎年咲こうが、翠葉が好きなのは赤い花だから換えはきかないってことです。それを翠葉を秋斗先輩に置き換えて、赤い花を翠葉に置き換えて考えさせました」
淡々と答える蒼樹のたとえ話に俺たちは唖然としていた。
「あんた、なんで建築学なんてやってんのよ。今から教育学にでも転学しろっ!」
湊ちゃんがそう言いたくなる気持ちもわからなくはない。俺にはこんなたとえ話で説明してあげることなんでできやしない。
「……やっぱ甘すぎ」
と、口にしたのは司だった。
「そしたら?」
と、湊ちゃんが先を促す。
「私は赤いお花が好きなのだから、一年草でも赤いお花を大切に育てたいって言いました」
「……それはつまり」
栞ちゃんが口にすると、
「赤い花が一年で枯れてしまおうが黄色い花が毎年咲こうが、翠葉が好きなのは赤い花だから換えはきかないってことです。それを翠葉を秋斗先輩に置き換えて、赤い花を翠葉に置き換えて考えさせました」
淡々と答える蒼樹のたとえ話に俺たちは唖然としていた。
「あんた、なんで建築学なんてやってんのよ。今から教育学にでも転学しろっ!」
湊ちゃんがそう言いたくなる気持ちもわからなくはない。俺にはこんなたとえ話で説明してあげることなんでできやしない。
「……やっぱ甘すぎ」
と、口にしたのは司だった。