光のもとでⅠ
 毎日話していたわけじゃないのにそう思うのは、私が中学で話せた人が鎌田くんしかいないから。
 私は鎌田くんと話すときだけ、肩の力を抜くことができた。
 きっと、この裏も表もない悪意を含まない笑顔にほっとしていたのだ。
「さっきは隼人先輩が急に告るからびっくりしたよ……。でも、いい加減な人じゃないし、すごく尊敬できる先輩」
 そのときのことを思い出すだけでも顔に熱を持つ。
 さっきの先輩の申し出は、あまりにもストレートで勘違いのしようがなかった。
 紅葉祭の準備が始まってから何度か告白されることはあったけど、こんなに意識したことはなかったと思う。
 何か変わったとしたら、きっと自分。
 私が人を好きになるという気持ちを知ったから。
< 6,044 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop