光のもとでⅠ
「手……」
「え……?」
「手と身体を預けてくれたらそれでいい。あとは俺が誘導するままに動けばいいから」
「でもっ、足踏んじゃうかもしれないしっ」
「ワルツとは違うから安心していい。それに、踏まれても三回までなら許してやる」
 そう言われ、手を引かれるままに近い方の輪に加わった。
 ダンスが始まっても私の頭はごちゃごちゃしたままだ。
 その私の思考を遮るように、ツカサの声が降ってきた。
「右手はこのまま。左手は俺の肩」
 有無を言わせない指示に、左手をツカサの肩に乗せる。
 すると、ツカサの右手が腰に添えられ心臓がぴょんと跳ねた。
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