光のもとでⅠ
 わっ、そうかもしれない。
 音楽のリズムに揺られ、ツカサのリードに身を任せたままそんな会話を続けていた。
 でも、これ以上何か訊かれたら、芋づる式にボロボロと話してしまう気がする。
 それだけは困るから、ひとつだけ教えることにした。
「言えることがあるとしたらね、この人が好きなんだってわかったときにはもう失恋が決定していたの。でも、すぐには諦められそうにないから……だから、もう少し好きでいたいな――」
 これ以上は話せない、と意思表示のつもりで話しただけなのに……。
 告白をしたわけでもなんでもないのに、自然と涙が溢れくる。
 なんで――なんでツカサにこんな話をしなくちゃいけないんだろう。
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