光のもとでⅠ
「その時点で違うって言ってるようなものだと思うけど?」
「え? あ、わ……違うっ。違うけど違わなくないのっ」
「それ、日本語として成立してないから。あと、秘密にしておきたいなら、もう少し声のトーンを落としたほうがいいと思う」
 ツカサの顔を見上げると、クスリ、と意地悪な笑みを浮かべていた。
 その表情に、またカッ、と顔が熱くなる。
 一曲終わると、「休憩」と言われて観覧席へ戻ることにまった。
 私は情けない顔をして、手を引かれるままについていくだけ。
「翠の好きなやつってどんな人間?」
 つながれた右手に、一瞬力がこめられた気がした。
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