光のもとでⅠ
「気づけばペースは乱されっぱなし。自分の思いどおりにいくことなんてひとつもない。でも、それを煩わしいとは思わないし、逆に気になって仕方がない。挙句、目の届くところにいてほしいと思うから謎。自分すら知らない自分を引き出される」
 こんなにも想われている人が、羨ましい――。
 その人はいったいどれだけのツカサを知っているのだろう。
 きっと、私の知らないツカサをたくさん知っているんだろうな……。
 言いたくないのに、この口は勝手に喋る。
「気持ちが伝わるといいね」
「言葉にしないと無理ってわかってるから、そのうちどうにかする予定」
「……そっか」
 心が凍ってしまうかと思った。
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