光のもとでⅠ
 ツカサとふたり顔を見合わせ、「プレミアムベストショット」があの寝顔写真ではないかと危惧する。
「翠、とりあえず逃げるから」
 ツカサに手を引かれ、一段一段がずいぶんと高さのある観覧席を上った。
 びっくりし過ぎて涙なんて引っ込んだ。
「会長、どんなルールですか」
 ツカサが久先輩に通信を入れると、
『掴まらずに図書棟へたどり着けたら君らがウィナーってことで』
 短い返答で通信は切れた。
 ツカサはわかりやすく舌打ちをし、
「翠、とりあえず校舎裏っ」
 私たちは野球場と一、二年棟の間を通り、校舎裏へと抜けた。
 その瞬間に曲が途切れる。
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