光のもとでⅠ
「曲が――」
『翠葉ちゃーん、ごめんねー? 曲が終わっちゃったみたい』
 なんとも明るい茜先輩の声だった。
 しかも、曲が終わったというよりは、曲を途中で止めた、というのが正しい。
『一陣速いよ。もう観覧席を上り始めてる。翠葉ちゃん、気をつけてね。司、Good luck!』 
 朝陽先輩が校庭側の動きを実況中継してくれる。
 ツカサはリモコンを操作し、インカムから誰かに通信を入れていた。
 手を離した途端にツカサはどんどん先へ行ってしまい、私はその背を追いかけるのに必死だった。
 少し息が切れて立ち止まる。
 気分が悪いとかそういうのはないから大丈夫。
 そう思って顔を上げたときにはツカサの姿が見えなかった。
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