光のもとでⅠ
「え? ……ツカサ?」
 あたりを見回しても見つからない。
 どこを見てもジャックオウランタンのオレンジの光だらけ。
 そんな中、とりあえず図書棟に向かうことを考えた。
 少し小走り気味で足を踏み出すと、途中で腕を掴まれ木陰に引き込まれる。
 気が動転して声をあげそうになったけど、それも手で押さえられてしまう。
 心臓が止まりそうなほどびっくりしたけれど、すぐにそれは解除され、安心という二文字に変換された。
 だって、この手はツカサの手だ……。
 目の前が真っ暗で何も見えないのはマントの中だから。
 口を塞がれていても怖くはない。
 この体温にほっとする。
< 6,094 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop