光のもとでⅠ
 力いっぱい握りしめたからしわになってしまっただろうか。
 そう思ったときに気づく。
 嘘――すごい至近距離っ!?
「文句は受け付けないから」
「え……?」
 唇に柔らかな感触を得た。
 ――な、に?
 今の、なに……?
 ツカサの切れ長の目が、すぐ近くにある。
「翠が悪い……。何度言っても無防備改めないは、勝手に人の腕の中で寝るは、俺の気持ちに気づかないは――」
 息を感じられる距離にツカサの顔があった。
「好きでもない相手にキスなんてしない」
 キス――。
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